「大好きですよ」
気になるあのコに言われた言葉。
流石は僕ですね、クフフ……
『鳴呼696様』
「」
「はい?」
いつもの様に、犬・千種と共に過ごしていた穏やかなある日、
僕は折角なので聞いてみることにしました。
誰に何を、って?
それはですねぇ。
「唐突ですが、は彼の何処を好きになったんですか?」
「えッ?!」
@ここ最近周囲に出没するようになったという女の子に、
A僕のどこが好きなのか、という事を。
彼女の長く細い髪が揺れて、僕の方へと大きな瞳が向けられました。
その瞳に、僕はにっこり微笑みかけます。
そして彼女は、一瞬にして頬を紅潮させました。
彼女は結構シャイな面も持ち合わせているようで、
なかなか想いを口に出す事は難しいみたいです。
だからこそその彼女の気持ちを汲み、
僕が告白をしやすい状況を自らの手で与えていこうかなと思いまして。
そもそも何故僕がこんな事を言い出したかというとですね、
あぁ、少し前に話を戻さなくてはいけませんね……。
それは、数日前の彼女の1言がきっかけでした。
数日前。
僕が近所を散歩していると、
ひそひそと話し合いをしている女の子達2人が目に入りました。
遠巻きで見ていても解ります。あの人は……
「……じゃないですか」
女の子の1人は、最近僕達3人の前に顔を出すでした。
もう1人は……あの親しい様子から言って、多分友達かなにかでしょう。
を驚かそうと、僕はこっそりと得意の忍び足で背後に近寄りました。
すると、彼女の友達の強気な声が僕の耳へと届きました。
『告白すればいいじゃないの!』
驚かそうと踏み出した足が空で止まりました。
次いで弱気なの声も聞こえます。
『ちょっと!大きい声出さないでよ』
『大丈夫だって、誰も聞いちゃいないから』
……クフ。バッチリ聞いてますよ。
何だか面白そうな話題だったので、
しばらく聞き耳を立てる事を決め込んだ僕は、
そっと近くの茂みに身を潜めました。
どうやらは気になる人がいるみたいですね。
一体誰なんでしょうか。
『、最近その人と仲良いんでしょ?』
『仲良いっていうか……ん〜どうなんだろう』
『でも、結構会話は出来るようになったんでしょ』
『まぁ、頑張ったからねぇ』
『そーよねぇ、アンタ毎日毎日彼の元へ通ってたモンねぇ』
そう言えば、僕も最近と会話するようになりましたね。
笑い合えるぐらいに仲良くなりましたし。
それに何だかんだ、毎日顔を合わせてる気が……
そんな事を考えていた時、ピーンという効果音が脳内で鳴り響きました。
まっ、まさか……!!
僕の事が好きなんじゃ………!
いや、まさかじゃなく。
きっとそうに違いありませんね。
だって僕はこんなにもいい男なんですから。
惚れない方がおかしいでしょう。ね?
「そうですか……クフフ」
は僕の事が好き。
そう知った今、思わず笑みが零れ落ちてきます。
遠くからは再び、友達の声が響いていました。
『大丈夫だよ、向こうも嫌いじゃないと思うしさ』
だから、頑張れ!そう励ます友達に、は少し黙った後で頷きました。
『……うん、そうだね。頑張ってみる!!告白するよ、私!』
「それは楽しみですねぇ……クフフフ」
遠くでキャイキャイと騒いでいる2人を背に、
僕の笑い声が少しだけ響き渡っていました。
と、言う訳なんです。
お解りいただけましたか?
しかし。
僕の方はあの日からずっと告白を受ける体制はバッチリなのに、
なかなかは言ってこようとはしません。
僕は待つのが苦手な男なので、
ここは1つのためのも一肌脱ぐ事にしましょう。
……という感じで、冒頭へ戻るのでした。
冒頭で、敢えて僕は僕自身の事を『彼』と置き換えてみました。
だって彼女は、彼女の僕への想いを、
僕自身が知っているなんて思ってもいないのですからね。
―――でも大丈夫。
僕はちゃんとわかっていますよ、?……クフフ。
「彼の何処が好きって……まさか骸さん、私の好きな人知って……?」
質問に一瞬にして赤くなった彼女。
僕は「勿論」と頷いて見せました。
「僕に隠し事なんて通用しませんよ?」
クフフ。
の顔が困ったように眉を寄せ始めました。
きっと今、「私の想いがバレてるなら、もう言うしかない」とでも思っているのでしょう。
しかし彼女は、照れ笑いをしながら口をつぐんでしまいました。
どうやら言葉を捜しているみたいですね。
まさか焦らし作戦ですか!
……いや、彼女はそんな高度なテクニックは持ち合わせていないでしょう。
多分好きな人を目の前にして、緊張しているんでしょう。
クフ、仕様の無い人ですねぇ、全く……
「」
「え、はい?」
頬を赤らめるに、僕はにっこりと微笑みました。
自分から告白出来ないのなら、手を貸してあげましょう。クフフ。
「は、彼の何処が好きなんですか?」
我ながら何て素敵な流れを作るのでしょう。
このまま行けば、自然に告白できるチャンスが巡ってきます。
自分で自分に惚れそうなぐらいジェントルメンですね、僕は。
「うーん……全て、かな!」
少し唸った後、やっぱり照れたように笑いながらは答えました。
やはり僕にぞっこんの様ですね。
折角なので色々と質問をしてみましょうか。
ここからは、僕の心の声と共に会話を進めていきましょう。クフフ。
「そうですか…それでは、特に好きなのは?」
「あの独特の瞳!」
「なるほど……」
うんうん、まぁ一般人には見慣れませんからね。
当然と言えば当然ですよね。
「髪型も素敵ですし」
「こだわりがありますから」
そう、やはり髪型が決まらないと1日が始まりませんからね。
毎日セットに何時間も費やして頑張ってますよ。
「背格好も好きですよ」
「ほうほう」
足が長くて背が高い男はモテますからね。
背の低い男なんてナンセンスですよ、クフフ。
「それからオシャレさんだし」
「気を配ってますから」
モテ男には当然の条件ですね。
まぁ僕みたいないい男は何を着ても似合うのですが。
目の前に立つは、まだにこにこと照れ笑いをしています。
クフ、もう完全に僕の虜ですね……。
では、そろそろ告白していただきますよ……?
僕は今までと同じ流れで本題へと乗り出しました。
「よほど彼が好きなんですねぇ」
「えぇ、すごく好みなんですよ」
「クフ、そうなんd「柿ピー」
……クフ、フ?
一瞬だけ、辺りを沈黙が覆います。
今、僕の言葉を遮ったのは……
「……」
「はい」
「今、何て言いました?」
きょとんとするに、僕は恐る恐る尋ねてみます。
今、僕じゃなく、だけど聞き覚えのある名前があがった気が……
「『すごく好みなんですよー、柿ピー』って言いましたけど」
あれ、どこかおかしな所ありましたか?
そう言って不思議そうに僕を見つめる彼女。
「……フ」
「え?」
何だ、そうゆう事だったんですか。
おかしいですね、笑が止まりませんよ?
「……クフ」
「あ、あのぉ……骸さん?」
「クハハハハハハハ」
急に高らかに笑い出す僕を見て、が横であたふたしています。
遠くの方からいくつかの足音が聞こえてきました。
「……」
「あっ、柿ピー!どうしよう、骸さんが……」
笑いが止まらない僕の後ろに、どうやら千種と犬が来たみたいですね。
千種がの傍でなにやら話しています。
「こっち来て」
「え?で、でも」
「いーから」
「う、うん……」
そうして千種はの腕を掴み、スタスタと早足で遠ざかっていきました。
未だ笑い続ける僕の横で、犬が小さくため息をつきました。
「んではぁの心の声付でリプレイしてみましょー。はい、キュー!」
……もしもし、犬。
どこ見ているんですか?僕はこっちですよ?
え?読者の方?
〜心の声付きで回想〜
「あの独特の瞳!(妙に惹かれるんだよねぇ)」
「髪型も素敵ですし(おかっぱの似合う男の人っていないもの!)」
「背格好も好きですよ(あの猫背……!!)」
「それからオシャレさんだし(何気に帽子がいつも違うのよね)」
〜回想終了〜
何かがパリン、と音を立てて割れた気がしました。
あの笑顔が眩しすぎてなんだか哀しいような……
……おかしいですね。
モテ男の僕が何故こうも切ない気分になるのでしょうか……
回想を見終わった犬が、
僕を励ますつもりなのか、グッと力拳を作りながら言いました。
「骸さん、は趣味が悪いれすから!安心してくらさい!」
何をどう安心すればいいのでしょう。
……やはり君はパイナッポーの刑に処します。
「クフフフフ……」
フラフラとその場を離れて歩き出す僕を、黙って見守る犬。
遠くの方から犬が呟くのが聞こえてきました。
「あちゃー……しばらくはハンバーグ尽くめにした方がいーびょん」
小声で呟いたその言葉は僕の耳にしっかりと届きましたよ。
そうですか、今日の晩からハンバーグですか。
それは楽しみですね……クフフ、クハハハハハ!
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わーい、初骸さんだよー!とんだ勘違い野郎ですよー!笑
黒曜メンバー大好きです。柿ピとムック、そりからランチアさん愛ですね♪
てか復活のキャラで嫌いな奴は数人しかいません…バーズとか変な双子とかね!笑
あ、ザンザスも…スクアロに酷い事言ったので嫌いだ!爆