『仕事も自分も大事にしない奴は痛い目を見る』〜真選組屯所編〜
「オイ総悟!」
「なんですかィ土方さん」
畳の上でのんきにせんべいなんか食いながら転がる総悟。
そんな奴に俺は怒りの眼差しを向けた。
「テメー仕事はどうした」
「あー、今ちょっくら休憩時間なんでさァ」
総悟は、後ろに立つ俺をちらりと見やった後、
何事もなかったかの様にテレビへと視線を向け、そうケロッと答えた。
コイツ……仕事もせずこんな所でゴロゴロしやがって。
こちとら書類の山と格闘してるっつーのに、休憩だと……?!
煙草を、引きつる口元へと運んでいく。
火をつけて煙を吐き出し、俺は言った。
「ほぅ、お前はアレか……よっぽど暇なんだな?」
「いやー、どちらかというと忙しいですぜィ?」
「どっからどー見ても忙しそうには見えねーぞコラ!」
腰に下がる刀を抜こうと手を掛けたその時、
どこからともなく現れた近藤さんが「ストーップ」と間に入り込んだ。
「総悟、トシは自分の仕事に加え、お前が今まで溜め込んだ仕事もやってるんだぞ?
ちったぁ手伝うとかしてやれ」
「へー、そうだったんですかィ」
「……そーだったんだよ、実は!」
面倒事は全部俺が引き継いでんだよ!
そう言って大きくため息をつくと、
そんなら手伝いますかねェと総悟が立ち上がった。
「はーぁ、忙しいのも困ったモンでさァ」
「お前は忙しくなんかねーだろが!」
「まぁでも実際、ここ最近ずっと休みなしだからなァ……」
近藤さんがしみじみと頷く。
俺達の間に、少しの沈黙が流れた。
「「「暇欲しー(ぜ)」」」
そう3人がそれぞれ呟くと同時に、窓の向こうの空に光の筋が走った。
瞬間、俺達はその光に包まれて―――
続く!