ただ我武者羅に駆け抜けた。掌には空しさだけが残った。
ただ闇雲に覆い来る闇を斬り払った。闇は晴れても心は晴れない。
―――散った仲間の声だけが遠く耳に残っている。
「花は散る、それは不変」
いくら空が明るくて、
いくら花が咲き誇っていたって。
夜はやって来るし、花も散る。
―――待っているものは闇と静。
人も同じ様に、
いくら護ってみせても、
いくら零れ落ちないようにしていても。
護りきれずに、零れるモンは容赦なく落ちる。
―――待っているものは闇と死。
所詮俺は何も出来やしないんだ。
いや……俺だけじゃない。
この世の何も、抗う事は出来ない。
暗い闇には誰も、何も。
結局俺達のしてきた事は何だったんだ。
―――幾度となく尋ねた想い。
人々の無念・寂寥・哀切・後悔。
俺達はどれだけ背負っていけばいいんだ。
―――人の血しか浴びなかった、この背にどれだけ。
答えが見つかる筈もなく、
時だけが無情にも流れ過ぎて行き。
そうしていつの間にか、再び護りたいものが出来る。
一度は赤く染まったこの掌で。この身体で。
夜は訪れ、花は散る。
それは不変で永劫、変わりはしない。
だけど
零れたものはまた拾えばいい。
何回零れても、その度に拾い直そう。
そうして一言、「悪かった」と呟こう。
転びそうになってもそのまま派手に転べばいい。
傷を負って、また一回り成長するから。
そうしてどこからか救いの手が伸びてきたら、
素直に一言、「ありがとう」と呟こう。
背負ったものに、護りたい想いに、
くだらないものなんてないのだから。
いくら空が暗くたって、
いくら花が散ってしまったって。
朝はやって来るし、花も精一杯咲き誇る。
―――それもまた、不変。
護りきろう、自分の為に。
もう、迷わない。
――――――――――
ちょっぴり白夜叉時代の銀ちゃんが書きたくなったので書いてみた。
……のですが、コレは一体?(聞くなよ
ちょっと「Pray」のOPをイメージしてみました。
今度こそ、護れる分は精一杯護りきろうと誓った銀ちゃんでした。