眩しい夏の太陽、キラキラ輝く水面。

はしゃぐ人々に……煙草をふかす、彼の姿。

今私は海に来ています。









『真夏の太陽とキミ』



















「ねー、トシ」

「ん」



隣で寝そべる彼に、私は視線を海へ向けたまま尋ねた。

視線の向こうでは、近藤さん達がはしゃいでいる。



「思ったんだけどさ〜」

「んー」

「寝ながら煙草吸うのって、辛くない?」

「……」



生返事が途絶えた彼へと視線を落とす。

目を伏せたその顔を見つめながら、私は小さくため息をついた。



ちぇ、折角海に来たのに。

水着も気合い入れて選んだのになぁ。

……もーちょっと相手してくれてもいージャン。



こうしてトシとのんびり過ごす事は、彼の仕事上あまり出来ない。

ましてや2人きり、というのもどれぐらいぶりだろう。

……だから嬉しいといえば嬉しい。

でもさ、やっぱ構ってくれないと寂しい訳で……



気がついた時には、勝手に私の手は動いていた。



「って訳で」 



ヒョイッと彼の口元から、まだ長い煙草を取り上げた。



「あ、オイ!」

「ハイ、煙草没収〜」



取り上げると同時に彼も起き上がる。



「返せって」

「ダーメ、トシ煙草ばっか吸ってるんだもん」



そう言って、ぷいっと横を向いてふてくされてみた。

生暖かい風が少しだけ吹いて、私の手が持つ彼の香りが揺らいだ。



「オイ」



風が止んだ後、彼がそっと私の名前を呼んだ。



「こっち向けよ」



そう呟いて、彼の長い指が私の腕を掴む。



「ヤだ」

「いーから」



まだ少しふてくされたまま、仕方なく彼の方へ振り返る。

その時。

ふわっと彼の香りが辺りを包んだと思ったら、視界が急に暗くなって……

同時に、唇に柔らかい感触を感じた。





ほんの一瞬、だけど永く感じる時間。





そうしてゆっくり彼の唇が離れた時、彼はプ、と小さく笑った。



「お前、目ぐらい閉じれば?」

「……そんな余裕なかった」

「あ、そ」



唐突な事で呆気にとられる私。

その光景を見ながらにやりと笑ったその口は、再び煙草をくわえていた。



「あ!」



慌てて自分の手を見てみる。

さっきまであった筈の煙草は、忽然と姿を消していた。



「いつの間に!」

「さーなァ」



そう言って、彼は楽しそうに悪戯な笑みを浮かべながら、ゆっくりと煙を吐いた。



眩しい太陽の下で、彼の香りが揺らいでいた―――



















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ハイ、とゆー事で。
拍手お礼の為に書いた、「Don't move!」の番外編でした。
トシさんは口元が寂しいんだろうねーきっと。
だから煙草欠かせないんだよ!
ってゆう妄想からの産物でした☆笑